電子・情報産業は、我が国の巨大な産業社会の基盤を支える基幹産業として位置づけられ、高度情報化社会の到来に向けて、その役割と重要性は一層大きくなりつつある。電子・情報産業の根幹を支えるものはシリコンLSIを主体とする半導体産業である。それ故、我が国の半導体産業の如何が我が国の産業社会の今後の在り方そのものの鍵を握ると言っても過言ではない。
現在、半導体の技術開発及び半導体の生産には莫大な資源を要するようになり、産業としてのさらなる発展を期するには、国内外にわたるさまざまな形での協調が不可欠となりつつある。
一方、半導体産業の発展の大きな原動力の一つは、健全にして激しい技術開発競争であった。そして、その事情は今後とも変わることはないと考えられる。我が国の半導体産業の現今の地位もまた、技術開発における努力の蓄積がもたらしたものであると言えよう。
いまや世界の最先端に位置する我が国の半導体産業ではあるが、システム、ソフト面での後進性など今後のシステム化の進行にあっては必ずしも万全とはいい難い面を残していることも否めない。世界市場の中で国際的な協調・調和の下に、今後ともその先端的地位を確保・維持し、そこからの利益を享受し続けるためには、これら弱点を克服し、これまでにも増して新技術や新市場の創生に努め、我が国の技術的競争力を維持し、それらを通じて世界の産業への寄与を高めてゆくことが必要不可欠である。
そのためには、我が国の持てる研究開発力を存分に発揮させ、新技術の創生を有効に推進する枠組みを構築することが要となると考えられる。新技術の創生においては、技術の応用面は当然のことながら、多くの可能性を秘める基礎分野での展開と努力が特に重要である。技術の応用面は産業界が、そしてその基礎は大学が、それぞれに主要な担い手となるのが基本的かつ健全な姿である。しかるに、我が国においては伝統的に産業界と大学とは、技術の研究開発の面では比較的相互に疎遠な関係であったことは否めない。これは、これまでが大学は学問の府として研究を担い、産業界は産業技術の開発を担えば相互に何の依存関係がなくても事足りた時代でもあったからである。また、基礎は欧米諸国に仰ぎ、我が国はそれを基にした技術の応用を専らにするという長い歴史が存在したことも事実である。
しかし、我が国の持てる研究開発力を基礎から応用に至るまで総合的に発揮し、我が国の半導体産業が先端性と競争力を維持し技術を世界的に牽引するには、このような状況を傍観することは許されず、産業界と大学の有効な協力関係を構築することが必須である。
(株)半導体理工学研究センターは、このような時代の要請に鑑み、日本の半導体関連民間企業より資金を募り、シリコン半導体技術の基礎分野についてしかるべき規模をもって、日本の大学への研究委託、あるいは大学との共同研究を遂行し、我が国の技術基盤の強化と先端競争力の維持を実現し、これにより我が国の産業社会へひいては国際的な産業社会へ貢献することを目的に設立するものである。すなわち、これによりシリコン半導体技術の基礎分野における産業界と大学との密接かつ有効な協力関係を実現し、発展性と創造性に富んだ特徴ある多くの基礎的な研究成果を創生し、さらにはこの技術分野へ強い関心と情熱を持つ我が国の将来の半導体産業を担う若い研究者、技術者の輩出を促し、もって我が国の産業の活力と先端的な地位の維持、発展に資することを目指すものである。
